「世界一周、ずっと夢だったんです。小5くらいから」
そう話す彼女は、大学4年で世界一周を実現した“まき”さん(21)。YouTubeには旅の記録がたっぷり残っているけれど、今回の記事で届けたいのは、ルートや観光地の解説ではなく、彼女の“人となり”と“思考の芯”だ。
なぜ、夢を諦めずにやり切れたのか。なぜ、不安がほとんどなかったのか。旅の途中で何を感じ、何を持ち帰ったのか。
20〜30代の私たちが、明日もう一歩踏み出すためのヒントが詰まっていた。

夢の原点は、女性2人の世界一周ブログだった
まきさんの世界一周の出発点は、意外と静かなきっかけだった。
「女性2人で世界一周してるブログを見たんですよね。『私もこれやってみたい』って思って、ずっと追いかけて読んでました」
小学生の頃に見つけたそのブログは、夢の“火種”になり、やがて“習慣”になっていく。
「いつか」じゃなくて、「大学生で行けたらいいな」と具体的に思い続けた。






夢を“叶える側”にいた家庭環境:小さな我慢は、大きな自由のために
夢が途中で消えなかった理由を聞くと、まきさんは「母の影響が大きい」と即答した。
お母さんは「暮らしを良くするには?」をテーマに、講演会をしたり、夢の描き出しを大切にしたりする人。
そして、現実的な“お金の教育”もセットだった。
「お菓子も全然、自分で買ったことなくて。中学の時からお菓子も買わないし、お水しか飲まなかったです。コーラ、今も好きじゃないんですよね」
欲しいものを我慢したというより、「小さく使うより、大きく使いたい」という価値観が育っていた。
“節約”ではなく、“優先順位”の話。
この感覚が、世界一周という大きな決断の土台になっている。



出発前に「怖い」はなかった。あったのは、ずっとワクワク
「行く直前に、やめとこうかな…ってならなかった?」
そう聞くと、まきさんは迷いなく答えた。
「全然。ずっとワクワクでした。不安も怖さも一切なくて」
強がりに聞こえるかもしれない。でも話を聞くほど、それは“根拠のない無敵感”ではなく、彼女のスタンスそのものだった。
「行ってみな分からん、っていうスタンスで行ったからこそ、そんなに不安もなかったのかも。知らなかった、っていうのもありますね(笑)」
怖さをゼロにするのではなく、怖さより先に「体験」を置いている。
“安全策を積み上げてから挑戦”ではなく、“挑戦しながら学ぶ”。
彼女の軽やかさは、ここから来ている。

「怖い出来事」より、記憶に残ったのは人の優しさ
旅の中では、ヒヤッとする出来事もあった。
観光客を狙った声かけ、迷路のような街、スリに遭いかけた瞬間。
それでも、彼女の話は“恐怖”で終わらない。
「危ないかも、って思った時ほど、不思議と誰かが助けてくれたんです」
見知らぬ人が小声で注意してくれたり、
現地の人が間に入って流れを止めてくれたり。
「だから、怖かったっていう記憶より、
“あの人、優しかったな”っていう印象の方が残ってます」
世界一周は、危険を乗り越えた冒険談というより、
人を信じても大丈夫だった、という確認の旅だったのかもしれない。



“合わない人”がほとんどいなかった理由:「その時の波動で出会ってる」
「旅で、価値観が合わなくて距離を置いた人はいましたか?」
この質問に、まきさんは少し笑いながら言った。
「いないんですよね。たぶん、自分の波動と出会ってるから。その時の波動で出会ってるから、ないんですよね」
スピリチュアルに聞こえるかもしれない。けれど、彼女の言葉を丁寧に解釈するとこういうことだと思う。
“今の自分”が選ぶ場所には、“今の自分”が出会う人がいる。
だからこそ、出会いは「偶然」だけじゃなく「自分の状態の反映」でもある。

旅の中で出会った、心に残る生き方
世界一周の旅の中で、特に印象に残っている出会いを聞くと、
まきさんはオーストリアで出会った一人の現地の女性の話をしてくれた。
彼女は朝5時に出勤し、夕方4時頃には仕事を終える。
仕事後は家で過ごすのではなく、平日でも友人を誘って公園や川へ出かける。
「明日仕事だから」と我慢することはなく、日常の時間を楽しんでいたという。
集まり方もとても自然だった。
友人同士の輪に、通りかかった知り合いを
「一緒においで」と当たり前のように迎え入れる。
誰が来てもウェルカム、そんな空気があったそうだ。
その生き方を見て、まきさんは
「幸せって、特別なことをすることじゃないんだと思った」と話す。
仕事をきちんとしながら、日常の時間も大切にする。
先の楽しみのために今を我慢するのではなく、
今日という一日をどう過ごすかを大事にしている。
この出会いは、まきさんにとって
「働き方や生き方は、もっと自由でいい」
そう考えるきっかけの一つになった。


一番“良かった国”は?答えはいつも「人」
旅の話になると、普通は「どこの国が良かった?」「絶景は?」になりがちだ。
でも、まきさんの答えは一貫している。
「結局、人なんですよね。どんなに絶景を見ても、その国で出会ったこの人が良かったから、行って良かったになる」
さらに印象的だったのがこの言葉。
「どんな景色見てても、『誰かに見せたいな』って思っちゃう。大事な人と一緒に見たいなって」
絶景の連続は、感動が薄れていく。
それでも、人との出会いは薄れにくい。
彼女の幸福は、景色ではなく“関係性”で膨らんでいくタイプだ。



旅で変わったのは「価値観」じゃなく「広がり」
「旅で人生観、変わりました?」
よくある質問に、まきさんは少し意外な答えをした。
「変わった瞬間がなくて。どちらかというと、広がったって感じ」
“正解を塗り替える”のではなく、“選択肢を増やす”。
この感覚は、彼女の柔らかさに繋がっている。
さらに、スイスで感じた「豊かさ」も印象的だったという。
見せびらかすような豊かさではなく、自然に溶け込む服装、機能性重視、優雅な暮らし方。
「豊かって本当にこういうことなんだろうな」と感じた。



強くなりたかった彼女が、旅で手に入れた「素直さ」
まきさんの話の中で、最も心を打ったのはこの部分かもしれない。
「小さい時、泣く子が嫌いだったんですよ。なんですぐ泣くの?って思ってた。だからこそ私は強く生きたい、って」
でも旅の中で、朝起きたら「涙だけがこぼれてた日」があった。
「なんで泣いてんの?って思ったんですけど、これはサインなんだろうなって。心の奥底では怖さがあったんだろうなって」
強さ=感情を抑え込むこと、ではなかった。
繊細さは弱さではなく、向き合えた分だけ強くなれる。
感じた気持ちをそのまま認めてあげること。
それができて初めて、前に進めると分かった。
「もっと素直になりたい。
ありのままの自分を、自分が一番分かってあげたい」
挑戦したいのに踏み出せない人へ、彼女が伝えたいのは“無理に強くならなくていい”というメッセージだった。

これからの夢:海外に住むこと、ワーホリ、そして“成長し合える人”と生きること
世界一周を終えたあと、喪失感はなかったのか。
「達成感はとてもあるんですけど、夢がポンポン出てくるんです。海外2年住みたいとか。だから英語頑張らないとって勉強してます」
さらに、人生の友人・パートナー像もはっきりしていた。
「魂が光り合う人がいい。一緒のペースで成長していける人」
“理想の条件”を並べるより、「会ったら分かる」「気づけるように自分を磨いておく」という感覚。
彼女は未来を、焦って取りに行くというより、整えて迎えにいく。




最後に:世界一周がくれた“幸せ”は、世界中に増えた「会いたい人」
世界一周を通して見つけた幸せは何か。
まきさんはこう答えた。
「私、やっぱ人がすごい好きなんだなって。幸福度が上がるのって、人との出会いなんだなって思いました」
今は、旅先で出会った友達が日本に来てくれたり、次の旅で合流する約束ができたり。
国境を超えた“会いたい人”が増えていく。
世界一周は、ゴールではなく、彼女の人生の人間関係の地図を一気に広げた出来事だった。
そして、この記事を読んだ私たちに残るのは、たぶんこの感覚だ。
「不安がなくなるまで待たなくていい」
「怖さがあっても、進める」
「本当の強さは、素直さの中にある」
まきさんが旅で見つけたのは、世界の広さだけじゃない。
“自分のままで進む”という、軽やかな覚悟だった。

取材後記
まきさんの言葉は、どれも気負いがなくて、なのに芯があって、聞いていて何度も「そういう生き方、いいな」と思わされました。
旅の話以上に、“人を信じる力”と“自分の感情に素直になる強さ”が印象的でした。
協力してくださって本当にありがとうございました。
👇世界一周旅のYouTube
EDIT=BROADMOOR編集部
SPECIAL THANKS=MAKI
